情景のなかの人形たち+ 2024 winter



 自分自身の個展「情景のなかの人形たち」も6回を過ぎ、今回初めて平塚以外の会場を利用してj開催してみました。
 場所はつく薪温泉、駅徒歩1分という利便性の高い場所です。



<1年に2回個展を開催する>
 11月、紅葉も標高の高いところからしだいに下りてきて、今では低山でも楽しめるようになりました。ご近所では丹沢大山国定公園の山々を中心にたくさんのハイカーの
訪れる季節になりました。
 小田急線の「鶴巻温泉駅」は弘法山ハイキングコースの入口にあって、この季節の週末はたくさんの家族連れで賑わうと思う。



 鶴巻温泉駅までやってきました。駅前のナンキンハゼの並木は有名です。

 ニュースでは「きれいな紅葉があちこちで始まりました」みたいな話題が流れているけど、自分はそう思っていません。ここ数年のなかでは色づきは最も良くないと
思っています。
 このナンキンハゼは濃い緑から黄緑、黄色、橙、赤、そして最後は茶色になり、そこから真っ白な実が顔をのぞかせるというのが人気です。
 今年は楓やモミジ同様、色づく前に葉を落としてしまうもの、緑からいきなり茶色や紫がかった色になってしまうもの、葉先が焼けたように委縮してしまうものが目につく。
 これまでのように様々な色に染まった葉の中で真っ白な実が覗いているいるというのは希で、上の画像のように何とか残った赤い葉の中に白い実が見られるという状況
です。これもおそらくは気候変動の影響に違いない。

 

 さて散歩しながら鶴巻温泉にやってきたのは理由があります。
 この鶴巻温泉駅前には「弘法の里湯」という公共の入浴施設や物産館、食堂があり、そこに併設される形で「宮永岳彦記念美術館」があります。こちらには市民ギャラリーも
あって、今回はこちらを個展会場として予約しにきました。
 こちらはいつも利用している平塚市美術館のギャラリーに比べるとやや狭いのですが、個展会場としては十分な広さがあります。



 申込書類をいただいて、どういう個展にするのか具体的なプランを練ります。
 展示可能な作品も増えてきて、年2回の個展開催は前々から可能だったのだけど、今さら回数を増やすだけではつまらない。スペース的にはこれまでの平塚市美術館の
市民ギャラリーに比べると60%程度の広さとなることもあるので、何か新しいことも取り入れたいと考えました。

 今回メインの企画にするつもりなのが「ご近所の風景」をジオラマや写真のコーナーです。完全な地元開催なので、見たことのある景色は楽しんでいただけると思う。
あとは昨今の状況から平和をテーマにしたもの、そして新作公開といったところです。
 おおまかな会場の配置図を考え、借用する備品の使用願いやPR文などの書類を会場の宮永岳彦記念美術館市民ギャラリーに後日提出してきました。




 あと常々思うのが照明の問題です。美術館の照明というのは、できるだけ影ができないように、ともかくフラットな照明だということ。人形の場合には立体感がなさすぎて平坦に
見えてしまうし、ジオラマにしても強い日差しの下という感じには絶対になりません。

 ちなみに上の画像は自分のリメイクした shuga fairy の Pearl というBJDなのですが、提出した書類の上に座ってもらったところを撮影してみました。上からのフラットな照明だと
髪の影が顔に落ちて瞳の奥に光が届かなくなり、その魅力が半減してしまいます。さてどうするか?一般的な考えとしては必要最低限の明るさを室内灯で確保したうえで、必要に
応じてスポットを当てるのが良いとされる。とはいえスポットライトをいくつも持ち込んで、勝手にコンセントからたこ足配線して電源を確保するというのは、さすがにまずいので、
今回は実験的にLEDライトを持ち込むことにしました。



<2週間前 直前準備開始>
 個展開催まで一ヶ月を切ったあたりから制作ペースが上がってきて、ジブリ映画「紅の豚」ポルコロッソのアジトとティラノサウルスのジオラマが完成し、そして5ヶ月かけてリメイク
してきた leah という球体関節人形も衣装合わせのみを残すだけとなりました。

 

 手足の長い8.5頭身のベッピンさんです。多分、一見しただけではこれが粘土からつくられたものとは気づかないでしょう。
 そして何を着せるか考えているうちに4.5畳の部屋の床は服でいっぱいになっていた。 基本1/3スケールのドールなので、SDやDDほか市販の洋服が着せられるのだけど、
自分のつくるドールはスリムでヘッドが小さいため、なかなか雰囲気までぴったりという訳には行かないです。



 悩ましいのは劣化によって着せられなくなるものが多いということです。
 特に合成皮革のものはボロボロになって、毎年のように何着か廃棄しています。服はともかくとして、履物は半数以上が合成皮革なので特に質が良くない。 少しでも
長持ちさせるなら「靴・ビニール手入れ剤」というベタなネーミングの艶出し材が良いです。というかもはや一択状態です。
 気づいた時には(半年に一度ぐらい)これを塗って磨いています。

 

 使えるもの、そしてテーマに合ったものを選んでいった結果、今回展示するのは大きな人形4体、ジオラマ21点、写真100点ほどと決まりました。
 これを展示するためにはまだやらなければいけないことがある。作品を会場に搬入するためには、車で移動させても壊れてしまわないような専用の箱が必要になります。
自分はこれを段ボールから自作しています。底部には作品が揺れたりずれたりしないようなストッパーをつけ、上に別なものを乗せても壊れないような補強をしています。



 このとき、一つ一つの作品を点検するのも必須です。なかには壊れたものがあったりする。こちらは「小さな訪問者」という1/3スケールの球体関節人形用の展示背景なの
ですが、水色で示したように軸受けが破損して窓が外れてしまっています。おそらくは1年半前の個展の搬出のときにぶつけてしまったのが原因です。



 こちらのきりっとした感じのドールは mirai というオリジナル球体関節人形です。4.5畳の自室も一時はドール服がいっぱいにひろがって大変なことになってたけど、ようやく
洋服選びと着付けも終わりました。



<1週間前 プリント作業>
 自分自身の個展「情景のなかの人形たち+ 2024 winter」まであと一週間を切るところまで来ました。作品はもちろんもすべて完成して梱包も無事完了です。
 次に始めたのがドールフォトのプリントアウトです。やっぱりこれがあると会場は華やぐ。この半年間で撮りだめたもののなかから、これはいいなってものをプリントアウトします。

 

 ポイントになるのはプリンターの設定と画像そのものの処理です。
1 プリンターが正しい色を出すように、L版程度の用紙に見本プリントを繰り返す。
2 そのうえでややコントラストと彩度を上げたプリント用の画像を用意します。
 1については当然のこととして(結構これが面倒だけど)、2はモニターとプリントではどうしても透過光と反射光の違いが出てしまうので、必要に応じて行います。

3 額に入れたりパネルにするのが好ましいのだけど、お金もかかるし重くなるので、自分はこのA4プリントを一回り大きなB4の画用紙に両面テープで貼り付けて
 展示しています。
 このとき写真をB4用紙の中心に落とし込むための「枠」をつくっておくと作業は楽になります。

 今回は新規に30枚ほどプリントアウトしました。ただ写真だけというのも潔いけど、簡単なコメントをつけるとより効果的です。その時のシチュエーションだったり、感じた
ことなどを素直に書き加えています。イメージは写真でつくる「紙芝居」かな。

 これが終わったところで、これまでにプリントした作品と一緒に全体の構成を考え、配置してゆく順番を決めてゆきます。
 展示可能なものは300ほどあるのですが、時間と会場の広さの関係で今回は100作品ほど選びました。本当はもっともっと展示したいけど、多分これが限界で、もしか
したらこれでも多すぎるかもしれません。





大光院 (平塚市岡崎)
 1532年開山のお寺です。こちらからの眺望は絶景です。




座間神社
 ひな祭りの頃は毎年その参道が雛人形で埋まるという名所です。創建不詳の古社で周辺は桜の名所になっています。




箒杉 (山北町 中川)
 樹齢2000年とも言われる巨大な杉です。その存在が周囲を圧倒します。



遠藤原 (平塚市)
 都心から車で1時間もかからないところに、こんなに広大な丘陵地帯がひろがります。写っているのはいちめんのそば畑です。




花菜ガーデン (平塚市)
 1年じゅう様々なお花の楽しめるところです。自分の場合にはよく人形のテスト撮影にも利用させていただいています。




西平畑公園 (松田町)
 河津ザクラと菜の花で有名なところです。松田山の南斜面にあるので、関東では最も開花が早いところの一つだと思う。海外からの観光客も多く、会話を聞いていると
日本じゃないような錯覚に陥ります。




leah
 時間があったので、こちらはDMとして印刷しました。
 来場して下さった方への無料のお土産というわけですが、裏面には夏に平塚で開催する「情景のなかの人形たち 2024 summer」のお知らせと、自分自身の運営する
ブログとHPのアドレスが書かれています。今回は新規にQRコードまでつけてみました。
 こういうPRは絶対に必要です。




<前日 最終点検>
 個展「情景のなかの人形たち+ 2024 winter」は明日より開催です。5日前に作品はすべて完成して梱包も済ませた。3日前には展示するドール写真の整理も完了、
あとはこまごまとした作業やら点検をすすめています。



 こちらは会場案内や作品紹介のプリントです。人形やフィギュアそのものを展示販売するイベントは何度も見たし、自分も参加もした。あたりまえですが個展というのは、
いわば自分が立場を変えて主催者になったということなので、すべてを準備しなくてはならない。特に人形やフィギュアを主人公にして情景展示するというのは、普段はあまり
見ない形式のものなので、説明を追加しないと分かってもらえないところが多分にある。
 何にもしないと 特に人形あたりは、上手につくればつくるほど市販品に見られる可能性が高くなります。



 今回は調光可能なLED照明をいくつか持ってゆく、人形やフィギュアは光の当たり方次第で良くも悪くもなるので、これで調整するつもりです。



 左上から説明文や写真を張り付けるためのダルマピン、ドールのヘアーをお手入れするための「革・ビニール手入れ剤」とウイッグオイル、櫛、一番右は補修用の2種類の
接着剤です。下段はメジャーと紐、何でこんなものが必要かと思われる方も多いと思いますが、展示品を等間隔に置いたり、たとえば壁に貼り付ける説明文や写真の高さを
一定にするのって、結構めんどくさい。



 すべての点検を終えて、リビングの片隅に120cm×100cm×90cmのスペースに持ち込む作品を積み上げました。このサイズはマイカーの荷室の広さに等しい。つまり明朝は
このまま順に運び出せばよいということです。
 ただ今回の3連休はあんまりお天気が良くないみたい。せめて搬入搬出のタイミングは雨や雪は勘弁してほしいのだけど、それこそ水を差されたって感じです。



 余裕があったのでまたDMを追加してみました。






<1日目 搬入>



 搬入は9:30から、事前に考えた配置に従って机やパネルを置いてゆく。
 でも作品を少しだけ出したところで、作業は中断、なんかものすごく中央が暗い。事前に下見はしているのですが、パネルを置いただけでここまで暗くなるとは。
ということで予定変更、必要最低限の枚数だけに減らします。

 

地下空間
 ニューヨークの地下鉄をイメージした作品です。2ヶ月にわたってロシア軍に包囲され続けたウクライナのアゾフスターリ製鉄所、ニューヨークの地下鉄の景色、
さらには風の谷のナウシカ劇場版のエンディング、この3つがなぜか自分の中で結びついてこういう作品ができあがりました。
 どのような状況でも夢や希望は持ち続けたい。そういうメッセージが込められています。

 この作品は高さ70cmほどもあり、結構大きいです。けれどこれを収めていた箱は60cm×30cm×15cmサイズです。いかにコンパクトにまとめられるかが持ち込める
作品数を決めるところがあって、常に収納を考えながら作品づくりしています。



今回はLED照明を持ち込んで、積極的にライティングすることにしました。



 効果はこのとおり、瞳がキャッチライトして、見栄えがぜんぜん違います。





 かくして初日は予定の13:00にオープンしました。



<2日目>

 

誰もいなくなった
 2年越しで完成させた作品です。時は1940年代、第二次世界大戦中のヨーロッパのとある小都市の広場をイメージしています。
 散乱するビラ、放置された買い物かご。ここにいたはずの人々はどこに行ってしまったのか?そういう緊迫感とちょっとした恐怖のようなものが感じられるように配置して
みました。想定としては敵機の飛来を察知して人々は姿を消し、直後にその航空機からは大量のビラがまかれたというものです。

 実は撒かれたビラなどには統一性が全くない。ベンチに取り残された新聞は1941年12月、日本がパールハーバーを空爆し、太平洋戦争が始まった時のもの。その下に
落ちているのは『白バラ』のモチーフ。『白バラ』って何かというと、ミュンヘン大学の学生たちによる反ナチス抵抗運動のことで、彼らは1942年から43年にかけて6枚のビラを
作成し、戦争を終結させようと国民に呼び掛けたというもの。
 もちろん当時はナチスの存在は絶対的なものだったので、彼らは7枚目のビラを印刷する前にゲシュタポに捕えられ、国家反逆罪でギロチンにかけられてしまう。そのほか、
スターリングラード攻防戦のときに、ソ連軍がまいたビラ、ドイツ軍がダンケルクで撒いたとされるビラなどなど。

 背景の壁はベルリンの壁を参考にしてつくったもの。印象的なメッセージを書き写したほか、そのほかにも印象的な言葉を追加しています。
 柱の部分はJR鶴見線の「国道駅」の柱を表現したもので、第二次世界大戦末期に米軍機による銃撃の痕跡が残っている。

 ベルリンの壁が崩壊して30年、もろもろの問題は解決していないどころか、拡大さえしている。もちろんその下はバンクシーの「風船と少女」、風船は愛や希望の象徴と
言われているそうです。
 背後には工業プラントの一部として煙突とパイプラインを取り付けてみた。現代世界の問題は国家、民族間の争いだけでなく、地球環境の問題もある。決して万全とは
言えない世界、そして更にこの先が見通せない状況のなかに自分たちはいる。その事実をイメージとして再現したのがこの作品です。
 だからこれはリアルなジオラマではなく、ある意味メッセージそのものです。



<3日目 搬出>
 朝から気温5℃の雨ということで入場者はとっても少ないです。3日間で晴れたのは2日目だけで、神経を使う搬入搬出を雨の中でやらなくてはいけないのは最悪です。
 あとこちらのギャラリーをお借りするのは今回が初めてということで、特に照明に関する部分については勝手が違った。暗さについては昨日お伝えしたLEDで何とか修正
できたものの、根本的に室内は暖色系の照明なのでともかくやりにくい。



 まずは作品の青や紫がきれいに出ない。ジオラマのシチュエーションとしては、晴れた日の日中がいちばん多いのですが、それがみんな夕方に近い感じになってしまう。
 あとは外光、照明、LEDという色温度の違う3つの光源が混在して、影の出方が不自然で何かまとまらなくなっちゃいました。

 結果、最終日はどうしたかというと、ドールアイがキャッチライトするぎりぎりの明るさのLEDを人形の顔に当てるという方法で乗り切りました。ドールアイがキャッチライト
してないと、人形の魅力は半減ですから。




小さな訪問者
 窓を開けたら1匹の蝶が舞い込んできて、自分の手の上にとまったという作品です。
 ドールは akane という名の粘土からつくったオリジナル球体関節人形です。洋服以外は背景も含めてすべて自分で制作しました。
 マイブームのようなものですが、最近は写真で言うところのスナップに近い感覚の作品が多くなったと思う。日常的なシーンを切り取る感じです。そうすることで、動くことのない
作品ではありますがストーリー性やドラマ性が高まるような気がします。




白髭食堂
 この美術館から徒歩1分のところにある食堂です。ハイカーが多いので実際こんな感じです。今回は完全なる地元開催なので、こういう地元の風景を切り取った作品を何点か
置きました。スケールはすべて1/72に統一しています。フィギュアの身長は大人でおおむね2cmぐらいです。




浮島稲荷神社
 こちらは美術館から徒歩10分ぐらいのところにある。但し現在の風景でなく数十年前を想像して制作しました。フィギュアには浴衣を着せ、大正あるいは昭和の少しのどかな
時代をイメージしています。

 季節は秋、3日続いた雨も上がり、ようやく秋の日差しが降り注いだ。若い母親と娘が何日かぶりで浮嶋神社を訪れる。降り続いた雨のために増水し、神社はまるで湖に浮かぶ
小島の上に建っているかのよう。そしてその境内は彼岸花であふれていた。




山入口バス停
 夏休みの登校日、バス停あたりで久しぶりにクラスメイトに出会った。実在するバス停を背景にして、そういうありがちなシーンを再現してみた。こちらもスナップ的な作品です。




雪の遠藤原
 少し昔の時代の嫁入りの日を再現してみました。集落の外れの六地蔵に挨拶する花嫁です。このあたりでは嫁入りに関連する悲しい事件も記録に残っています。
 江戸時代末期、現在の中井町と平塚市の土沢惣領の家の間で婚約が整い、挙式の日を迎えた。花嫁は花籠に乗り、媒酌人及び親類一族ともどもその一行がここを
通りかかった。そのとき一人の若者が突然に現れて、花籠の花嫁を刀で刺して逃げ去った。
 以降この場所は「花籠の台」と呼ばれ、婚礼の際には通行禁止の場所となった。その後この禁を破ったものもいたが、やはり不幸が訪れたという。




渋田川
 伊勢原市を流れる芝桜で有名な渋田川の春の風景を再現しました。以前は毎年のようにこの川は芝桜であふれていたのですが、コロナ禍の影響で中断、今も再開される
ことはなく桜の樹も切られてしまったと聞きました。
 もともとこの「芝桜祭り」は昭和45年ごろに(故)鈴木健三氏が奥多摩から芝桜を持ち帰ったのが始まりとされ、それが愛好会などの発足により、今では600mもわたって
彩られるようになったと聞いています。


 

ひまわり
 クライナの平原1年半前に制作した1/3スケールの情景の主人公を、最近リメイクが完了した leah というオリジナルの球体関節人形に代えて今回は展示してみました。
 ウクライナというと往年の名画「ひまわり」の舞台になった国で、自分としては地平線の遥か彼方まで続くひまわり畑が思い出されてしまいます。最初はこのひまわりと
青空でウクライナカラーの情景をつくろうと思ったのですが、作品として制作するのは難しい、そこでこの雨上がりの風景をつくってみることにしました。

 
実際、あれほどひどく降りしきり、強く傘をたたき続けた雨も30分とたたずに止んだ。
 
そして静寂な時間。私たちの上には、ただ空があるだけ。
 
そして陽光が大地に差し込んだ。

 黄色いひまわりと青い傘はウクライナ国旗のカラーから、白い壁の落書きはジョン レノン&ヨーコ オノのイマジンの歌詞、激しい雨が止んで陽光が大地に降り注ぐという
ストーリーは世界中の願いです。



 今回の個展で会場の最初に張り付けたメッセージです。こういう感じで大仰に語るのは、どちらかというと日本人にとっては苦手らしいのですが、このまま放置しておくと、
とんでもないことになる可能性は高いです。だからこれを第一声としました。自分はかなりの高い確率をもって温暖化はすすむと考えています。
 トランプ氏は「温暖化なんて嘘っぱち」とか言ってるけど、完全に事実とは違う方向を向いています。




空の城ラピュタ ロボット兵
 ファインモールドから発売されているプラモを使って制作したジオラマ、スケールは1/20、ベースサイズは26cm×26cmです。
 劇場アニメの「天空の城ラピュタ」では世界を支配するラピュタ人は、謎の病を避けて地上に降りたとされていますが、それがもし近未来の日本だったらという、自分の
イメージした架空世界を具体化したのがこちらの作品になります。




風の谷のナウシカ オームとナウシカ
 ツクダオリジナルのプラモに手を加えて主人公を完成させています。月間アニメージュではトルメキアとドルクの戦いに一区切りついたところで、その最終回となりますが、
自分としてはその後、再び世界に平和が訪れつつあるシーンを再現したいと思って制作しました。

 
腐海がその勢いを失った時代、旧世界の遺跡に再び足を踏み入れると、そこに過去に存在していた植物が再び繁茂し始めていた。
 
そこでナウシカはオームの子供に出会う。

 皆が穏やかに生活できるようになったら、こういうシーンもあっても良さそうな感じがしませんか?
 風の谷のナウシカというと、戦いに明け暮れる少女の物語というイメージがあるけれど、やっぱり誰だって心穏やかに暮らしたいはず。だからそれを再現してあげたいなと
思ったのが、このジオラマをつくったきっかけです。
 青いタンクトップに白いワンピースという、一見活動的でない服装なのも平和な時代の象徴です。
 宮崎アニメって何かが起こって世界がいったん壊れてしまう、そしてその後にできあがったつぎはぎだらけの世界のなかで生きてゆく人々の姿を描くのが得意です。今の
世界とは異空間なんだけど、でもつじつまが合っていて面白い。情景の世界もそれに近いと思う。




小さな丘
 第二次世界大戦中のお花を売って生計を立てている農家のお話です。4つのジオラマで一つの物語を再現してみました。




 こちらは展示会場の出口、see you! のお別れのあいさつの下にあるのはポストカードや名刺です。裏面には次の「情景のなかの人形たち」の会場と日時、ブログのQRコード
などが印刷されてます。
 この個展はこれまでの中でも来場者数は特に少なくて、特に冷たい雨の降る気温5℃の最終日は、途中で搬出作業に入ったとはいえ、わずか13人でした。都心のイベントで
なければ大体こんなものでしょう。



<反省会>

 

 個展が終わって連れと打ち上げをした。最近見つけた近所のおいしいお刺身の出る店です。
 入場者は少なかったけどやり遂げたっていう感じ、自分自身の作品で自分の思うところを会場内に表現した満足感のようなものがある。だから1合420円の冷酒もおいしい。

 イベントへの入場者だけど考えたら、都心以外で開催するのはやっぱり難しいと思います。結果として世の中の流れは都心へ、あるいは流行り物へと流れてゆく。
 では地方にいたり、流行っていないものを作っていたら全く評価されないのかというとそうでもない。このブログを始めて7年になりますが、最初は1日に数人が来訪すれば良い
ほうだった。
 ブログへのアクセスが増えるのはどこかというと、短期的にはやはり良い作品が出来たとき、次には自分が熱くなって何かを語ったとき、あとは細かなテクニックや情景に
対する考えを述べたときだった。
 でも6年前に個展を初めてレポートするようになると、そのたびにベースになるアクセス数が増えてきたように思います。
 きっと会場には来れないけど、こういうものつくりに興味のある人は多いのだろうなって思いました。



 ちなみに最終日の前日のアクセスは普段の倍ぐらいあった、これは励みになります。もしかしたら応援されてるかもです。
 個展開催って実はそんなにハードルは高くないし、やりかたよってはPR効果も十分です。特に地方在住の方はSNS等を併用してゆけば費用をかけずによい結果が出ると思います。

 そして何より自分の作品で一つの世界を作り出す快感みたいなものは何にも代えがたいので、ぜひチャレンジしてほしいとおもいます。自分の知っていることでしたらお手伝いします。
 希望する皆が自由に個展をやれるって素敵です。

 そして次に向けての準備も昨日から始めました。次の個展は多分「旅」と「環境」がメインになる、ここに自分は言いたいことがある。

  
「情景のなかの人形たち VIII 」 Dolls in the Sciene 2024 summer
      
2024.08.07(WED) ~ 08.12(SUN) 10:00~18:30
   
平塚市美術館 市民アートギャラリーB室 (入場無料、会場内撮影可)



2024.04
camera: Panasonic DMC-LX7  /  graphic tool: GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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